兵庫の高校での活用事例(3/4)

兵庫県で文化施設(KOBEらぼ♪Polka)を運営し、高校教員理科教員のための実験研修会を主宰されている薄井様より、以前、カタルタを活用した活動をされたというお便りをいただきました。クラス活動にカタルタを活用してみたら「入学3日後には賑やかクラス」が実現した、とのうれしいお知らせでした。ご本人様の許可のもと、レポートを当ブログに転載させていただきます。薄井様のご厚意に感謝いたします。

–(以下転載)–

2015.6.6 「カタルタ」ネタ第2弾続報。つなぎ言葉の書いてあるトランプ「カタルタ」を場面転換や登場人物の気持ちの変 化に利用したドラマを制作することになった文化祭クラス企画。

①入学直後にカタルタで決めた野活の班を使って、クラス全員でカタルタストーリージャムを展開。前もって募 集した出だし文から一つを選んで、どの班もその後の展開をカタルタをめくりながらリレーで作っていきます。 各班に1台ノートPCをあてがって、文字入力の早い子にエクセルのシートに班員の言葉をどんどん入力していっ てもらいました。ところが、「映像になるストーリーにする」、これがナカナカ難しかった!!というのも「でき ごと」を綴っていけばストーリーになっていくのに、彼らはどうしても「内なるキモチ」をぐずぐずと語り繋いで しまうんですねー。そうすると登場人物も増えていかないし起承転結もつきづらい。

②でもでも!寄れば文殊の、です。全部の班のを寄せ集めて繋いだり入れ替えたり、シチュエーションを変えた り合わせたり、とやっていくと、なんだかちゃんとストーリーに!

③骨組みができたストーリーに「シーン決定チーム」が肉付けをしていきます。場面の様子を決めたり、やできご との必然性やつじつま合わせをして。ワイのワイのと言い合って、これまた端で見ていて面白い時間でした。こ の話し合い、はじめに決めたこの役割分担のメンツ以外に、編集の担当者や撮影役が「自分も入った方が良いと 思うんだよね」と自主的に参戦。…すごいじゃん。

④シーン表ができあがり、次は「配役決定チーム」が配役を交渉して決めていきます。並行して「スタイリスト」が 衣装小道具などの調達、「音源チーム」がPC室で著作権フリー無料音源のダウンロード作業を開始。この頃から、 もう、教師の参与は要らなくなってきました。

⑤いよいよ「撮影チーム」と役者で撮影開始。天気予報を見て、屋外シーンを先行撮影したり、塾がある、試合 だ(県総体の時期!)という子の都合も聞きつつ、その日の撮影シーンを決めて終礼でてきぱきと連絡している 様子も楽しい。部活にも配慮して、撮影オフ日も作ったりしてる。ポスターやクラスTシャツづくり、並行していろいろ進んでいます。

おとといのLHRでは「みんながおる時に授業シーンの撮影!」だそうで、 へえ、先生役はだれ?と聞くと、「え、先生役は先生です!」とのこと。ありゃま、突然ですか。

このドラマ、「シナリオ」がありません。あるのはシーン表だけ。その場のノリでそのシーンを作って行っちゃ うのです。で、授業なら板書がいるやん、と誰かが言うと、苦手がある一方で数学大得意な子があっという間に 今日の数Aの板書を再現!!すかさず「Kセンセーよりも分かりやすいやん!」と声が飛ぶ(あったかいね、感 謝)。同時に別の子が生徒が書いた解答板書もコレまたきったない字でそれっぽくあっという間に完成。この瞬 発力、いいなあ。

しかたがないので、私も「そんじゃあ理科の先生やめて数学になるわ」と、エプロンを外して参入。テキトー に当てたりしてやり始めたら「えーーセンセーめちゃ授業やん」と笑う(そこで受けてどーする…)ので、「ハ イハイ、授業は趣味ですから」

あー、楽しかった(笑)! 入れてくれてありがとう。

監督のアイデアでカタルタをめくるシーンも撮っていて、実際の場面転換に使われる模様。昨日PCに吐きだ したら、ビデオクリップが110個もできていました。まあ、ゴミもあるでしょうけど。 来週はしゃかりきに編集だね。

「行き当たりばったり」でドラマを作る、と、最初に生徒会に申請したときには「それではダメです」と突き返され てしまったのですが、「用意周到に行き当たりばったりを実現させる」という企画にして、そのノリでホントに 動いている子らが面白いです。久しぶりにワクワクしています。(長く書いてしまいました。お読みいただいた 方、ありがとうございました。)

転載元:高校生物 実験教材の広場

4月から6月半ばのおよそ2ヶ月半の間に書かれた4件のレポートを、数年の時を経た同日に記事をアップさせていただいています。季節感はそのままに、数年越しでも損なわれない熱量を感じていただけたらと思います。まとめて読まれたい方は、高校生物 実験教材の広場にアクセス後、メニューかバナーの「掲載実験一覧」をクリックし、「アクティブラーニングの視点から」という見出しをお探しください。そちらに全てのレポートが公開されています。