::2016/08/11の記事を一部を修正して再掲::
おかげさまで先日は、カタルタ発売4周年を迎えることができました。ここ4年でいえば、カタルタに関心を持たれる方は、コミュニケーションに課題意識を持っていらっしゃる方が多かったと感じています。しかし、もとより日本語や接続詞に関心があってカタルタに興味を持たれた方も、中にはいらっしゃるかもしれません。反対に、カタルタ体験の中で接続詞のパワーを実感し、接続詞自体への関心を深めた方もいらっしゃるのではないかと想像します。そんな方は、その勢いを活かして専門家による道案内に進まれると、より学びを深められるはずです。
先週発売された『「接続詞」の技術』(石黒圭/実務教育出版)は、接続詞の実践的な使い方が、体系的に分かりやすくまとめられた本です。
著者の石黒圭さん(国立国語研究所教授・一橋大学連携教授)によれば、前著『文章は接続詞で決まる』(石黒圭/光文社新書)が理論編だとすると、こちらは実践編とのことです。文章を書くときによくある(けれど自分では言葉にできない)迷いに対して、具体的な手がかりが示されています。個人的には、所々に挿入されたコラムや「オーダーメイドの接続詞を作る」には特に、かゆいところを掻いていただいたように思います。
文章を書くことはあまりに日常的なことですが、上達を目指すとなると、その道のりには正解がなく、途方もなく先が長く感じられます。しかし、知らない接続詞などめったにありません。そんな馴染みあるものを上達の手がかりとするからこそ、勇気が湧いてくるのかもしれない。そんなふうに思いました。
第1章1の「接続詞は書き手の発想を広げる」では、2頁(p11-12)にわたってカタルタもご紹介いただいてます。本当に光栄なことです。カタルタの試作をする中で、前著『文章は接続詞で決まる』は、大いに参考にさせていただきました。カタルタの提供している便益は、広い意味では「きっかけ」だと考えているのですが、研究者の知見に直接触れていただくきっかけになりえるのだという、ある種の役割を見つけた思いで今回、記事にしました。有益な知見と日常の接点として、カタルタをさらに磨き上げていきたいと思います。
ところで、新著本文の最後に出てくるフレーズが気に入り、反芻しています。
「接続詞は接続詞だけで考えないほうが賢明です。接続詞は周囲の環境との調和のなかで成り立っているのです。」(p191)
カタルタが主に接続詞をカード化したものであるだけに、上記文中の“接続詞”を“カタルタ”に置き換えて読むことができそうです。
「カタルタはカタルタだけで考えないほうが賢明です。カタルタは周囲の環境との調和のなかで成り立っているのです。」
いかがでしょうか。まさにカタルタの体験自体を指しているようではありませんか?
他にも、なるほど!と膝を打つような説明や、表現の仕方を見つけることができました。一言で「日常をよりよくする工夫」などというと聞こえのよいコピーのようですが、まさにそんな工夫の詳細が、この本には詰まっています。ご関心ある方は、ぜひお手に取られてみてください。
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