選書×カタルタ

当記事では、カタルタをめくった後の楽しみについて考えたい。よく耳にするのはアイスブレイクでカタルタを使うこと。その後には、本来の場の目的であるカリキュラムの本丸に入っていったり、フリートークの時間になったりするのだろう。そんな風に使っていただいて喜んでもらえている手応えはある。ただ、本当にその状況に満足していていいのだろうか、とも思う。単に他の声が聞こえてきていないだけなのではないだろうか、と。

カタルタを一人で使っている人もいるだろうし、複数人で使って満足はしたけれど、その先のポテンシャルだけ感じて関心が先細ってしまった人もいるだろう。楽しかった思い出や失敗した思い出がすっかり過去のものとして記憶の彼方で埃をかぶっているなんてこともあるだろう。

そうだとすると、もったいない。そこにある種の熱が生まれたのだったらなおさらに。カタルタ体験で生まれる火照ったようなあの感じ。特に初めてのときのあの感じ。いい具合にその続きを作る方法は、もっと探求された方がいい。

では、そこから先、カタルタを持っている人がどのように豊かさを享受できるだろうか、と考えを進めてみる。自ずと浮かぶのが、選書である。 カタルタをめくって、何を発見したのか。何に高揚したのか。それを自覚することから始めて、生まれたばかりの関心や喜びや何らかの思考の種から、さらなる探求のためにどんな本を読むと知的冒険が楽しくなるのか、を考えるのだ。そんなブックリストを提案してみたい。

選書によってカタルタの体験を知の大陸へと繋ぎ、記憶の海へと誘い、生まれた好奇心に続きを作るお手伝いをする。このアイデアについては、また改めてブログで記事にしたい。イベント化しても面白いかもしれない。

最後に、カタルタ体験でよく起きる発見のカテゴリを4つ挙げる。それがそのまま、選書のカテゴリになるのではないか。

  1. 自分についての発見(自分を知る、感情を知る):久しぶりに思い出したエピソードを解釈する足場を与えるような本、記憶のメカニズムや不思議を知ることができる本、哲学をわかりやすく教えてくれる本などを連想。
  2. 他者についての発見(他者を知る):同じグループの人を知る手がかりや、人間の理解を深める本、社会学系、心理学系の本などを連想。
  3. 関係性の発見(生命、宇宙、事物、概念などの関係、関わり合いを知る):つながりや構造、法則に関して知見を与えてくれる本を連想。2との違いは検討が必要かもしれない。語りの内容自体や内容に触発されて生まれたアイデアに対応する本が選ばれることを想定。
  4. 表現の発見(新しい表現を知る、記法を知る、言語化にあたっての進展を目指す):言語系、言語学系、言葉に対する視点を得られる本、詩、文学、書き方本などを連想。

僕は何を選ぼうか。あの人なら何を選ぶだろうか。あなたなら何を選ぶだろうか。