カタルタの使用年齢の限界を(下に)突破する。

カタルタの使用年齢について、考える機会がありました。今年の初めに開催したイベントのレポートで少し触れたこともありますが、当ブログでも取り上げておきます。
かいつまんでいえば、対象が3〜4歳児だったとしても、難易度の上げ下げ次第でやりようはあるという話でした。

普段、我が子以外の3〜4歳の子とカタルタをやることはありません。今回はそこにチャレンジがありました。3歳だと、まだはっきり文脈を汲んでストーリーを作れなかったり、月齢によってはルール自体が飲み込めていません。ですから、とにかく何か口にしたことを親御さんが何を言いたいのかよく聞いてあげたり、広げてみたりといった協力が大事になってきます。と言っても、読み書きのテストではないので、場がよい思い出になるよう、柔軟に難易度の上げ下げを行います。

そして、難易度の調整法を4つ紹介しました。

3〜6歳を対象にした場合の創作の難易度の上げ下げは、たとえば以下のようなルールで調整します。

  • カタルタを即興でめくらず(言葉面を見て)選ぶことにする。
  • 文字は親御さんが書くことにする。
  • お話に関する絵を描くのでよしとする。
  • お子さんがカタルタを選んで、親御さんが答えることにする。

一つずつ補足していきます。

1. カタルタを即興でめくらず(言葉面を見て)選ぶことにする。

即興でカタルタをめくらないことで取り組みレベルをだいぶやさしくすることができます。3歳も後半になると、中にはひらがなを読めるお子さんもいらっしゃるかと思いますが、その場合は、「これ知ってる!」という親子ともどもちょっとだけうれしい瞬間が作られるかもしれません。当然、ひらがなが読めるかどうかが分水嶺になるでしょう。ちなみに我が家の3歳児はまだひらがなが読めませんので、カタルタをめくって読み上げるような使い方はしません。

2. 文字は親御さんが書くことにする。

カタルタで物語を作るとき、せっかくなので何かの形に残したいと思うこともあるでしょう。そこで、物語創作用に紙を用意することがあります。その際に、話を考えるのはお子さんで、文字を書くのは親御さんといったように役割分担するのも一つのやり方です。文字を書けるかどうかには個人差がありますし、書けたとしてもかかる時間に差があるため、親子イベントや店頭の体験会などでは、親御さんに代筆してもらうことはよくあります。

3. お話に関する絵を描くのでよしとする。

これも物語創作用に紙を用意した場合の話です。2のように、文字を書く役を親御さんに譲ったことで、お子さんの出番がなくなり物足りなさが生まれるかもしれません。そんなときは、お子さんに絵を描いてもらい、親御さんとの合作にしてもらいます。文字を書くことが苦手なだけで、想像力は発火しているかもしれない可能性を思えば、頭の中に生まれたイメージを存分に表現してもらうのがよいのではないでしょうか。一つの言葉から広がったイメージには違いないのですから。

4. お子さんがカタルタを選んで、親御さんが答えることにする。

本当に最小限の参加方法は、お子さんがカタルタを一枚引いて選ぶことです。なんならどんな言葉が書いてあるか見る必要もありません。カードを一枚つまみ取ることなら、誰だってできます。しかし、同じくらい確かなのは、傍観者でしかいられないことのつまらなさです。これは2歳児でも、ひょっとすると1歳児でも当てはまることでしょう。自分が選んだ一枚は自分の持っている運が引き寄せた一枚です。その一枚によって親御さんの表情が変わり、生の声で続きが語られるなら、それはお子さんにとって決して退屈なことではないでしょう。

まとめ

ここまで、難易度の調整法について、カタルタがめくられる現場で実際に試してみたものをご紹介しました。当然ながら、このリストはまったく完璧なものではありません。ご家庭や地域活動、保育現場などそれぞれの現場の知識や知恵を踏まえて上のリストを眺めたとき、きっとまた違ったやり方が生まれてくるのではないかと思います。あなたなら、どんなふうに工夫しますか?

さて、タイトルこそ「カタルタの使用年齢の限界を(下に)突破する」と掲げましたが、そもそも限界を下に突破する必要性はありません。しかし、思考実験のようなもので、際(キワ)を考えてみることで何かが見つかることがあります。今日の場合であれば、カタルタは言葉である以前に”物”である、という身も蓋もない事実です。

カタルタをやるときはつい言葉の意味に意識を引っ張られがちですが、触れることのできる”物”であることには違いなく、めくったり、手渡したり、指差したり、交換したりできます。そういう意味では、”意味”を分かち合うこと以上に、その場に一緒にいるという”機会”を分かち合うことに目を向けると、場の可能性をさらに高めるヒントが見つかるのかもしれません。